l がんと初期仏教

がん患者さんへの初期仏教、テーラワーダ仏教、上座部仏教のご紹介

2.いらだち、嫉妬への処方せん

症状4:娯楽の制限に対するいらだち

処方せん:幸福とは安らぎ。刺激を受けて快楽を感じることが幸福ではない。
 がん告知の後、抗がん剤投与が始まり、外出できない日が多くなりました。今まで、やれ外食だ、やれ買い物だと理由を付けて外出していましたが、不思議とそれらの日々を恋しがる気持ちがなくなっていました。初期仏教を学び、瞑想を続けることで、安らぎ=幸福ということが少しずつ分かるようになり、逆に、今までの生活は快楽に踊らされていたと客観視できるようになってきました。

 私は、おいしいものを食べるのが大好きで、ネットで評判のよいお店を探しては出かけていましたが、食欲にはきりがありません。食べ歩きをしていた頃は、「美食探訪」という気持ちでしたが、今思い返せば、麻薬を求めてうろつく中毒患者のようでした。
もちろん、欲求のすべてを無くしません。今でもスーパーへ行けば、大好物のハーゲンダッツに手が伸びてしまいます(笑)。しかし、初期仏教を学ぶことで、客観的な視点が育ち、欲望に振り回されることはずいぶん減ったと思います。

「やめたいことはやめられる」123ページ より
「多くの人は幸福を間違って理解しています。刺激を受けて快楽を感じることが幸福だと思っているのです。 幸福とはやすらぎです。心の安穏です。心の平安です。心が揺らがないことです。この幸福を目指すべきです。富豪になっても、心の安らぎがなければ不幸なのですから。」

症状5:健康な人への嫉妬、「なぜ、私が」というやり場のない憤り

処方せん:嫉妬は怒りの一種。嫉妬の炎で苦しむのは自分自身と認識して、クールに消火する。
 自分が病気になると、今までなんとも思わなかった他人の健康がどうにも羨ましく・・・、いいえ、「うらめしく」思えてきます。私はこんなに大変なのに、なぜ私以外の人は・・・。

 しかし、この「嫉妬」が自分自身を不幸にします。病気が自分を不幸にするのではなく、自分のなかで生まれた暗い気持ちが自分自身を不幸にする。
なんだか、割に合いません。がんの治療だけでも大変なのに、そのうえ、暗い気持ちまで背負い込むなんて。嫉妬するのってバカらしい。そう気づいてからは、嫉妬するのをやめました。

「執着しないこと」26ページ より
「感情は『怒り』だけではありません。ミスをして落ち込む。仕事で上手くいった同僚に嫉妬を覚える。老後のことを考え不安になる・・・・etc.こうした感情は、結局のところ、あなたの頭の中の妄想が生み出したものです。」

症状6:治療のために仕事を休んですごく暇、入院中はもっと暇(笑)

処方せん:瞑想!
 他の問題にくらべると大したことありませんが、今までバリバリと仕事をしていた人にとって、休養期間の暇は悩みのたねではないでしょうか。

 時間を持て余している方におすすめするのは、初期仏教式の瞑想「ヴィパッサナー瞑想」です。
 ヴィパッサナー瞑想では、呼吸や皮膚感覚など、自分の「感覚」を客観的に実況中継します。瞑想の最中に頭に浮かんでくる様々な雑念も実況中継します。これを繰り返すことで、瞑想の時間以外でも、自分を客観視することが得意になってきます。落ち込んでいるときやイライラしていときなどに、「ネガティブな状態になっているな」と自分自身で気づくことで、感情が暴走するのを防げます。

 また、自分の欲求も傍観するようになります。スーパーの入り口で、「あ、また私、ハーゲンダッツ買おうとしてるな」と気づいたり(笑)
 瞑想というと、じっと座っているというイメージが強いと思いますが、ヴィパッサナー瞑想には、座る瞑想のほか、立つ瞑想や歩く瞑想、さらには食事の瞑想まであります。 歩く瞑想は、手術後のリハビリにも最適です。
 具体的な方法は下記をご覧ください。

日本テーラワーダ仏教協会 ヴィパッサナー瞑想

 それから、些細なことでもいいので、人の役に立つことを実行してみるのもおすすめです。
 私はものすごくヒマだった入院中、ひとりで勝手に、「看護師さんのいいところ探し」というゲームをしていました。「○○さんの注射はぜんぜん痛くない!」とか、「++さんは、包帯を巻くのがすごく丁寧だね」とか。見当違いの指摘だと、「そうかしら?(お世辞かしら)」と流されてしまうので、かなり真剣に観察しましたよ。看護師さんがひそかに自信を持っている長所を指摘できると、「そうかしら(^^)」と笑顔になる。そうしたら私の勝ち。看護師さんのご機嫌もよくなるし、おすすめです(笑)

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