l がんと初期仏教

がん患者さんへの初期仏教、テーラワーダ仏教、上座部仏教のご紹介

4.人間関係の処方せん

症状10:誰々のせいでがんになったと犯人探しを始める

処方せん:もっとも深刻な怒りの波。怒りは人のせいではなく、自分のなかで起こるものと学ぶきっかけに。
 私が、初期仏教を学んでよかった、と痛感したのは、がんになったことを人のせいにしないですんだことです。初期仏教では、怒りは他人とは関係ない。自分の中から起こるものだと戒めます。
がんになったのは、私を悩ませる○○さんのせいだ・・・と考え始めると、怒りで心がむしばまれます。こんなに辛いことはありません。もしも、そんな気持ちを抱えている方がいれば、初期仏教を学ぶことをお勧めします。

 ■がん患者さんへおすすめする初期仏教の本

「老いと死について」64ページ より
「・・・怒りに満たされた心は、穏やかさとは無縁です。病気を嫌だと思うたびに、怒りはどんどん心の中で育っていきます。 そして、『姑の当たりがきつくてストレスが溜まったせいだ』「上司が無理なことばかり言うからだ』『隣の奥さんの意地悪によって私は病気になった』などと周囲にまで当たり散らすようになります。」

「老いと死について」67ページ より
「・・・病気にかかることを、不幸になる運命にしないことです。自分自身の性格を見なおして、清らかな心をつくるためのきっかけにするのです。」

症状11:医療者や家族に対する苛立ち

処方せん:人はだれでも、自分の幸せが最優先。だからこそ、良くしてもらったときに感謝の念が生まれる。
 がんになると被害者意識が強くなり、医療者や家族に対してイライラすることがあるかもしれません。
私が通っている病院では、いたるところに「暴力・暴言禁止!」と書かれたポスターが貼られています。それだけ、医療スタッフに対してひどい態度をとる人が多いのでしょう。

 スマナサーラ氏が勧めている瞑想のひとつに、「慈悲の瞑想」というのがあります。この瞑想は、ことばを唱える瞑想です。最初に「私が幸せでありますように」、つぎに「私の親しい人が幸せでありますように」と唱えます。まずはじめに、自分の幸せを願うのです。ずいぶん正直な瞑想です(笑)。

 みんな、基本的には自分の幸せありき。お医者さんであっても、家族であってもそんなものだ、とクールに捉える。だからこそ、人が自分に良くしてくれたときは、「ありがとう!!」という気持ちが生まれる。そんなふうに腹をくくると、余分にイライラすることがなくなる気がします。

「人に愛されるひと敬遠されるひと」42ページ より
「『人は自分のことしか考えないものだ。』と理解すれば、それによってけっこう人づき合いはうまくいくのです。なぜならば、それを理解しておけばむやみに腹が立たないですむようになるからです。」

症状12:家族など身近な人に迷惑をかけるのが辛い

対処せん:感謝の気持ちを表す機会として捉える。
 自立心が強い人は、がんの治療のために、家族や職場の人に迷惑をかけることが辛いのではないでしょうか。私はこのタイプでした。

 しかし、この感情は裏を返せば、「迷惑をかけると嫌われるのでは」という恐れだと気づきました。 人はひとりでは生きていけない。どうやったって迷惑をかけたり、かけられたりして生きるしかない。それであれば、介抱してくれた人に、自分の仕事を代わってくれた人に、「ありがとう」と言葉で伝え、感謝を行動にうつす。弱くて頼りない自分を見せることで、逆に人間関係が良好になることに気づかされました。

「死と老いについて」108ページ より
「『病院まで連れていって』と笑顔でお願いすればいいのです。やってもらえたら、『助かりました』『ありがとう』と感謝する。こうした変化に応じた柔軟な対応こそ、あなたをとても自由にしてくれます。」

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